導入
AWS 認定資格の中で AI/ML 系資格が 2024〜2026 年に大きく再編されました。旧 MLS-C01(Machine Learning Specialty、2026-03 廃止)に代わり、AIF-C01(AI Practitioner、2024 GA)・DEA-C01(Data Engineer Associate、2024 新設)・MLA-C01(ML Engineer Associate、2024 新設)・AIP-C01(Generative AI Developer Professional、2026-04 GA) の 4 資格体系が確立。生成 AI ブームを背景に、AI/ML キャリアを目指す層の受験者数が急拡大しています。
一方で、これら 4 資格の位置づけ・使い分け・受験順序を横断的に整理した情報は少なく、「どの資格から取ればよいか」「自分の職種に合うルートは何か」の判断材料が集めにくいのが実情です。全体マップは AWS 認定資格 12 種の全体マップ にありますが、AI/ML 特化のキャリアパスを描くには専用の整理が必要です。
本記事では、AWS の AI/ML 系 4 資格(AIF/DEA/MLA/AIP)+隣接する CLF/SAA/DVA を横断する 目的別受験ルート 5 パターン を整理します。「データエンジニア志望」「ML エンジニア志望」「生成 AI アプリ開発者志望」「PM/ビジネス職」「AI 系全冠」の 5 職種別に、費用・学習時間・キャリア価値を可視化。加えて MLS-C01 廃止からの移行ガイド も掲載します。
なお本サイトは、プロダクトマネージャー(AWS 実務 5 年以上)の視点から公式情報・教材データを整理する形で運営しています。
AWS の AI/ML 系認定資格 全体像(2026 年 8 月時点)
まず、AI/ML キャリアで関わる主要資格を整理します。
| 資格 | 正式名称 | レベル | リリース | 受験料 (USD) | 受験料 (円) | 難易度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| AIF-C01 | AI Practitioner | Foundational | 2024 GA | 100 | 約 15,000 | ★☆☆☆☆ |
| DEA-C01 | Data Engineer Associate | Associate | 2024 新設 | 150 | 約 22,500 | ★★★☆☆ |
| MLA-C01 | ML Engineer Associate | Associate | 2024 新設 | 300 | 約 45,000 | ★★★★☆ |
| AIP-C01 | Generative AI Developer Pro | Professional | 2025 β→2026-04 GA | 300 | 約 45,000 | ★★★★★ |
| CLF-C02 | Cloud Practitioner | Foundational | 継続中 | 100 | 約 15,000 | ★☆☆☆☆ |
| SAA-C03 | Solutions Architect Associate | Associate | 継続中 | 150 | 約 22,500 | ★★★☆☆ |
| DVA-C02 | Developer Associate | Associate | 継続中 | 150 | 約 22,500 | ★★★☆☆ |
| MLS-C01 | Machine Learning Specialty | Specialty(廃止) | 2026-03 廃止 | – | – | – |
主なポイント:
- AIF-C01(Foundational):AI/ML の入門レベル、非エンジニアも受験可。生成 AI 基礎の共通言語
- DEA-C01・MLA-C01(Associate):2024 年新設、それぞれデータエンジニア・ML エンジニアの中核
- AIP-C01(Professional):2026-04 GA、市場初のプロフェッショナル級生成 AI 資格、実務 6 ヶ月推奨
- MLS-C01:2026-03 廃止、既取得者は 3 年間有効、後継は MLA-C01
目的別受験ルート 5 パターン
自分の職種・目的に合うルートを選び、必要な資格だけ取ればよく、「全冠」は目的にしないのが基本です。
A. データエンジニア志望
- 受験料合計: 100 + 150 + 150 = 400 USD(約 60,000 円)
- 学習時間合計: CLF 30h + SAA 120h + DEA 60h(AWS 実務ありの場合 20-30h)= 210〜240h
- 期間目安: 6〜9 ヶ月
- キャリア価値: データパイプライン設計・ETL・データ最適化のスキル証明、DWH エンジニア職・データアーキテクト職の武器
最速ルート: DEA 単独受験(既に AWS 実務 1-2 年以上、データベース基礎あり)= 150 USD、20-30h
B. ML エンジニア志望
- 受験料合計: 100 + 150 + 300 = 550 USD(約 82,500 円)
- 学習時間合計: AIF 30h + SAA 120h + MLA 100h(AIF 取得済なら 30-50h)= 250〜310h
- 期間目安: 6〜9 ヶ月
- キャリア価値: SageMaker・MLOps・モデル運用のスキル証明、ML エンジニア・データサイエンティスト・AI エンジニア職の武器
最速ルート: AIF 取得済+実務経験ありで MLA 単独 = 300 USD、10-30h
C. 生成 AI アプリ開発者志望
- 受験料合計: 100 + 150 + 300 = 550 USD(約 82,500 円)
- 学習時間合計: AIF 30h + DVA 100h + AIP 50h(AIF 取得済+AWS 実務ありの場合)= 180〜300h
- 期間目安: 8〜12 ヶ月(AIP 前に実務 6 ヶ月推奨)
- キャリア価値: 市場初のプロフェッショナル級生成 AI 資格、Bedrock・RAG・Agents 実装力の証明、AI プロダクト開発の希少人材
最速ルート: AIF → 実務 6 ヶ月 → AIP = 400 USD、実務経験後 30-50h
D. PM/ビジネス職(生成 AI プロダクト企画)
- 受験料合計: 100 USD(約 15,000 円)、AIF+CLF なら 200 USD(30,000 円)
- 学習時間合計: AIF 30h(AIF+CLF なら 60h)
- 期間目安: 1〜2 ヶ月
- キャリア価値: 生成 AI プロダクト企画の共通言語、エンジニア対話・要件定義・コスト評価の質向上
注記: Professional 級(AIP)は非エンジニアには過剰。Foundational(AIF)で十分。AWS クラウド全般理解が必要なら CLF を追加。
E. AI 系全冠
推奨ルート: CLF → SAA → AIF → DEA → MLA → DVA → AIP
- 受験料合計: 100 + 150 + 100 + 150 + 300 + 150 + 300 = 1,250 USD(約 187,500 円)
- 学習時間合計: 600〜700h(実務並行で進める前提)
- 期間目安: 12〜18 ヶ月
- キャリア価値: 「クラウド × データ × 生成 AI」のフルスタック認定を証明、コンサル・アーキテクト職の武器
注記: 全冠は目的にせず、必要な資格だけ取るのが原則。ただしキャリアの武器化を狙うなら選択肢。
各資格の位置づけ・関係性
Foundational(基礎レベル 2 種)
AIF vs CLF の使い分け: 生成 AI プロダクト企画・営業部門なら AIF 優先、クラウドインフラ基盤チームなら CLF 優先。両方取っても学習コストは 1.5 倍程度(AWS 基礎の重複あり)。
Associate(中級レベル 3 種、AI/ML 関連)
- SAA-C03:AWS 全域の設計スキル、最受験者数、AI/ML キャリアでも土台になる
- DEA-C01:データパイプライン・ETL・ストレージ、ML 学習データ準備の要
- MLA-C01:SageMaker・MLOps・モデル運用、旧 MLS-C01 の後継
- DVA-C02:アプリケーション開発・デバッグ、AIP への布石として有効
Professional(プロフェッショナルレベル、AI/ML 特化)
- AIP-C01:生成 AI アプリケーション設計・開発・運用、Bedrock・RAG・Agents 実装、市場初のプロフェッショナル級生成 AI 資格
学習時間・費用合算(受験ルート別)
| ルート | 受験料合計 | 学習時間合計 | 参考書/講座費用 | 総費用 |
|---|---|---|---|---|
| A. データエンジニア (CLF → SAA → DEA) | 55,000〜60,000 円 | 210〜240h | 書籍 5,000 円 + Udemy 3,000 円 | 63,000〜68,000 円 |
| B. ML エンジニア (AIF → SAA → MLA) | 82,500 円 | 250〜310h | 書籍 8,000 円 + Udemy 5,000 円 | 95,500 円 |
| C. 生成 AI 開発者 (AIF → DVA → AIP) | 82,500 円 | 180〜300h | 書籍 6,000 円 + Udemy 6,000 円 | 94,500 円 |
| D. PM/ビジネス (AIF のみ) | 15,000 円 | 30h | 参考書 2,750 円 + Udemy 3,000 円 | 20,750 円 |
| E. AI 系全冠 (7 資格) | 187,500 円 | 600〜700h | 書籍 20,000 円 + Udemy 15,000 円 | 222,500 円 |
学習リソース参考価格(2026 年):
- AWS Skill Builder(公式、無料〜低額)
- Udemy 講座(1 講座 1,500〜3,000 円、セール時)
- 参考書(AIF は SBクリエイティブ 2,750 円、MLA・DEA・AIP は日本語参考書未出版)
- CloudTech(AWS 特化スクール、月額数千円〜)
MLS-C01 廃止と移行戦略
MLS-C01(Machine Learning Specialty)は 2026 年 3 月 31 日で最終受験終了(既に終了)。既取得者の認定は取得日から 3 年間有効ですが、更新は不可なので後継資格への移行が必要です。
MLS 保有者向け 移行先 3 パターン
| 移行先 | 学習追加負荷 | 推奨対象 |
|---|---|---|
| MLA-C01 | 30〜50h | ML エンジニア職継続、SageMaker 実装重視 |
| AIF-C01 | 20〜30h | AI/ML 全般知識、生成 AI 対応、非エンジニアシフト |
| AIP-C01 | 80〜120h | 生成 AI 開発者へキャリア転換、実務 6 ヶ月以上ある人向け |
推奨: MLA-C01 が最有力(旧 MLS の後継として設計、既存知識の 60-70% を活用可能)。生成 AI 系にキャリア転換したい場合は AIF-C01 → AIP-C01 の順で。
市場データ: MLS-C01 廃止(2026-03)により MLA-C01 受験者が 2026 年上半期に急増、企業研修予算配分でも MLA への移行支援が拡大中。
各資格の学習ガイド(詳細記事へのリンク)
各資格の詳しい勉強法・学習時間・教材選定は、以下の詳細記事をご覧ください。
- AWS AIF 合格に必要な勉強時間と学習手順|生成 AI 基礎の入口:Foundational、AI/ML 基礎、Bedrock 概要、非エンジニアの入口
- AWS DEA 合格に必要な勉強時間と学習手順|データエンジニア入口:Associate、Glue・Kinesis・Redshift・Lake Formation
- AWS MLA 合格に必要な勉強時間と学習手順|機械学習エンジニア入口:Associate、SageMaker・MLOps・Model Monitor、MLS-C01 廃止後継
- AWS AIP 合格に必要な勉強時間と学習手順|生成 AI 開発の頂点:Professional、Bedrock Agent・RAG・Guardrails・Prompt Injection 対策
- AWS DEA Udemy 講座おすすめ 5 選|データエンジニア向け講座の比較:DEA-C01 対応 Udemy 講座 5 本の比較レビュー
2026 年 AI/ML 資格トレンド
急速な市場拡大
- AIF-C01 受験者数: 初年度(2024)から YoY 300% 以上の成長
- AIP-C01 GA リリース(2026-04)から 4 ヶ月で 5,000 人超が早期採用者バッジ獲得
- 生成 AI 資格の価値: 希少性が直結、AIP 保有者は 2026 年時点で就職・昇進で強力な武器
企業研修での導入拡大
- 2026 H1 の企業研修予算で AI/ML 資格取得支援が「リスキリング予算」として急速配分
- 特に金融・製造・流通業界での生成 AI アプリ開発人材育成が急増
- MLS-C01 廃止の影響: 既存 ML エンジニアの MLA 移行需要が企業研修に組み込まれ中
キャリアパスの多様化
従来: CLF → SAA → SAP(アーキテクト一本道)
2026 年: CLF → 目的別(AI/Data/Dev/Ops)に分岐する「スペシャリティ型」が主流化。AIF が「AI リテラシー共通言語」として、エンジニア以外の職種(PM・営業・企画)にも波及。
生成 AI への投資加速
- AWS Bedrock の商用採用が加速
- AIP 試験では Bedrock 統合、RAG、プロンプト最適化が出題ウェイト大
- 「生成 AI 開発の実務経験」が採用・配置の必須条件化
PM 視点:AI/ML 資格ロードマップの活かし方(一般論)
AI/ML 資格ロードマップは、個人のキャリア設計だけでなく、AI プロダクト企画・チーム設計・採用にも活用できます。
1. AI プロダクト企画の共通言語化
チーム全体で「AIF 保有必須」を目標にすると、企画・営業・エンジニアの間で生成 AI プロダクトの議論精度が上がります。要件定義で「RAG で対応」「ファインチューニングでは間に合わない」の判断が共通言語化。
2. ML エンジニア採用・評価基準
求人票の要件・評価軸に「AWS MLA 保有 or 相当スキル」と書くことで、応募者スクリーニングの精度が上がります。特に MLS 廃止後は MLA が事実上の業界標準になりつつあります。
3. 生成 AI プロダクト企画の説得力向上
社内外への提案書で「Bedrock で RAG を組む」「Guardrails でハルシネーション対策」と書く時、AIF or AIP レベルの知識があると 説得力のある根拠(コスト計算・セキュリティ設計・運用監視)を書けます。
まとめ
AWS の AI/ML 系資格は 2024〜2026 年に 4 資格体系(AIF/DEA/MLA/AIP)に再編され、旧 MLS-C01 廃止と生成 AI ブームで受験者数が急拡大しています。ポイントは:
- 職種別に必要な資格だけ取る(全冠は目的にしない、目的別 5 ルートから選ぶ)
- AIF が AI キャリアの共通言語、非エンジニアも受験推奨
- DEA → MLA → AIP が AI エンジニアの王道パス(データ準備 → モデル学習 → 生成 AI 開発)
- PM/ビジネス職は AIF のみで十分(AIP は開発職向け)
- MLS-C01 保有者は MLA-C01 に 30-50h の追加学習で移行可能(生成 AI 系なら AIP-C01 も選択肢)
- AIP 保有者は 2026 年時点でまだ少なく市場価値が高い、GA 直後の早期取得がキャリア武器に
自分の目的(データ・ML・生成 AI・PM)に合うルートを選び、必要な資格だけを効率的に取得するのが失敗しない選び方です。AWS 認定資格 12 種全体からの検討は AWS 認定資格 12 種の全体マップ をご覧ください。
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